21世紀を迎え、世界の人々は科学技術の調和と発展を強く望んでおり、科学技術の基盤としての学術研究の重要性はますます高まっています。大学附置研究所の使命は、国際水準を越えた独創的研究を推進し、新しい研究領域を開拓することにあります。北海道大学電子科学研究所は、物理・化学・数学に基礎をおいた従来の学問体系から脱却し、生命科学の成果をも積極的に取り込んで新しい電子科学の領域を開拓することを目的としています。
光機能材料の開発と外部電場・磁場効果を用いた機構解明
我々は、物質と光との相互作用を利用した新しい機能物性の発現を目指して、種々の相の分子および分子集合体に関して調べています。その一つとして、環境にやさしい省エネルギー型の発光素子として注目されている有機電界発光(EL)素子についての研究があります。我々は、光機能材料を光励起したときに観測される蛍光スペクトルに対する電場・磁場効果を、ピコ秒の時間分解能で詳細に調べることが可能な独自の測定装置を開発することに成功しました。その装置を用いて、EL材料となりうる発色団をメチレン鎖で連結した化合物が高い発光効率を持ち、さらに蛍光スペクトルへの外部電場の影響とEL発光効率との間に相関があることを見いだしました。これらの結果は、長寿命かつ高効率の素子を開発するうえでの応用が期待されます。
制御不能のハイテク洗濯機?
流体力学は非線形現象の宝庫であり、カオスやソリトンなど新しい概念のもとになった系でもあります。ここでは円柱型のコップに水を入れ、底だけを等速回転させます。あきれるほど簡単な系ですが、非常に興味深い現象が新たに発見されました。回転速度をうまく選ぶと、水面は不規則に上がったり、底についたりして2つの状態(a),(b)の間を行き来します。状態(a),(b)はそれぞれ全く異なる水面の形を持ちます。我々は、この状態遷移には層流と乱流という2つの流れの状態が関係していると考えています。
右上:水面変動の時系列(スリット写真を時間順に並べたもの。下側の白い線が水面の高さを表す)
右下:(a):水面は底に着き、水平断面は円となる(軸対称)
(b):水面は底から浮き、二股状の水面がほぼ等速で回転する(軸対称性なし)
Reference: T.Suzuki, M.Iima and Y.Hayase,” Surface switching of rotating fluid in a cylinder,” Physics of Fluids, 18 (2006)101701

