TEL.011-706-2596
〒060-0812 札幌市北区北12条西6丁目
北海道大学中央キャンパス総合研究棟2号館4階205号室
ようこそ西野研へ
動物の優れた情報処理能力を解き明かすことを目標としています。専門は昆虫を用いた感覚生理学・神経行動学・神経解剖学です。研究の初期段階では対象の丁寧な観察が重要と考えており、形態学を重視しています。西野自身もほぼ毎日実験を行っています。
また、環境低負荷型の害虫防除法の開発やセンサーの生物模倣にも貢献したいと考えており、行動生態学、生物工学分野との異分野連携研究、一般企業との産学連携研究を精力的に進めています。数理解析、シミュレーション分野との共同研究も歓迎いたします。
キーワード:嗅覚情報処理、温度・湿度情報処理、聴覚情報処理、機械感覚情報処理、擬死、連合学習
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高橋直美博士、水波誠教授との共著論文(Separate but interactive parallel olfactory processing
streams governed by different types of GABAergic feedback neurons in the
mushroom body of a basal insect)がJournal of Neuroscienceにパブリッシュされました。昆虫の記憶中枢(キノコ体)を抑制的に支配するGABA免疫陽性神経細胞がキノコ体から出力する神経細胞から直接興奮性の入力を受け取ることでフィードバックループを作ることを2細胞内同時記録によって示したエレガントな仕事です。染色画像がカバーに採用されました。嫌われ者の昆虫にもきれいな神経
(beautiful neurons in an ugly insect)ですね。 詳細はこちら
(クリックで拡大)
堂前研究員、水波誠教授との共著論文(Functional unification of sex pheromone-receptive glomeruli
in the invasive Turkestan cockroach derived from the genus Periplaneta)がNeuroscience
Lettersにパブリッシュされました。トルキスタンゴキブリはもともと中近東原産ですが、ペットの餌としてインターネットで取引されることで世界中に定着している侵略的外来種です。本種の雄の性フェロモン処理システムについて調べました。性フェロモン処理糸球体はワモンゴキブリのじつに3倍の体積があり、そこから出力する介在神経の感度は動物界でも最高レベルで、0.1
fg(10-16 g)の触角への提示に対して活動電位を出しました。トルキスタンゴキブリはペリプラノンに対して強く誘引されますが、求愛行動を引き起こすには種特異的な不揮発性の化学物質を触角で感じ取ることが重要です。これはペリプラノン提示に対して直ちに強い求愛行動を示すワモンゴキブリとは対照的でした。トルキスタンゴキブリはワモンゴキブリの派生種であることが知られており、異種交配を避けるために二段構えのシステムを発達させてきたようです。
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6年越しの研究がCell and Tissue Researchにパブリッシュされました。コオロギの前肢にある聴覚器の中に哺乳類の耳小骨に相当する構造を発見しました。耳小骨は音によって生じる鼓膜の機械的な振動の音圧成分を増幅し、内耳(蝸牛)を満たすリンパ液の流れへと変換します。音の周波数が低いほどリンパ液は遠くまで届くため、蝸牛のより奥にある感覚細胞が刺激されます。本研究では鼓膜と感覚細胞の間を介在し、てこの原理によってリンパ液に一方向の流れを生み出すと想定されるキチン質の構造(上皮コア)を発見しました。詳細はこちら
福岡大学の渡邉英博博士との共同研究がJ. Comp. Neurol.誌にパブリッシュされました。この研究ではゴキブリの長い触角の一部を占める嗅覚受容野の形成が不完全変態昆虫特有の発達と深く関わることを示しています。卵から孵化したゴキブリは11回脱皮しながら徐々に大きくなります。触角は脱皮毎に根元の部分に新しい節が付け加わることで長くなります。基部側に新しく付加される嗅感覚細胞が脱皮毎に介在ニューロンとシナプスを形成すると理論上はお互いに重複する受容野が12個できることになります。この結果は我々が先行研究で特定した受容野の位置、大きさ、数を良く説明します。詳細はこちら
我々の論文(Group-housed females promote asexual ootheca production in American cockroaches)がZoological Lettersにパブリッシュされました。ワモンゴキブリの雌を複数で飼育することで、単為生殖の卵鞘の形成が促進され、3年以上にわたりメスだけのコロニーを維持できることを発見しました。卵鞘形成の促進にはメス同士の機械的な接触や体表化学物質の受容が重要です。本成果はウオールストリート・ジャーナル、毎日新聞を始めとする多くのメディアに取り上げられました。詳細はこちら
我々の論文 (Spatial receptive fields for odor localization) がCurrent Biologyにパブリッシュされました。この論文ではワモンゴキブリの長い触角のどこにどれくらいの大きさの匂い分子の塊(フィラメント)が当たったのかを識別できる神経基盤が存在し、その識別の座がキノコ体であることを発見しました。本研究は,嗅覚システムが視覚情報処理とよく似たしくみをもつことを示した初めての包括的な研究で、動物の匂いナビゲーション(=匂い源を探し出すこと)のメカニズムに新たな解釈を与えるものです。詳細はこちら
我々の論文(Complete identification of four giant interneurons supplying mushroom body calyces in the cockroach Periplaneta americana)がJournal of Comparative Neurologyにパブリッシュされました。この論文ではゴキブリの記憶中枢(キノコ体)の感度を調整する4つのGABA作動性巨大ニューロンの形態と生理学的性質について調べました。各ニューロンがキノコ体の一部を支配すること、多種感覚刺激に応じ、その活動を状況依存的に変化させることを明らかにしています。詳細はこちら
我々の研究のテーマの多くは個人研究です。よって創意工夫によって実験系を改善できる人が望ましいです。また、小さな昆虫相手の生理実験では手早くプレパレーションを作ることが重要になるため、器用な人は圧倒的に有利です。現在の基幹技術は細胞内記録、神経染色、行動解析です。西野研では常時複数の研究テーマを同時に進めており、テーマ探しに困ることはありません。具体的なテーマについては学生の志向や適性について相談の上決めます。なお、当研究室は理学部・生命科学院の水波誠教授と共同研究を進めています。
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(Prof. Giovanni Galizia)