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研究概要research

性フェロモン情報処理と行動についての研究

 神経生物学と行動生態学の融合を目指す研究です。多くの昆虫においては,メスが性フェロモンと呼ばれる種特有の匂いを出し,オスがそのフェロモンをたどってメスに定位することで交尾が成立します。したがって,性フェロモンは種の存続に重要な機能を果たしています。性フェロモンの受け手であるオスは性フェロモンを専用に処理するための神経が発達していますが、出し手であるメスに同様の神経が存在するのかどうかについては長い間論議の的となってきました。

 我々はゴキブリ雌雄の1齢幼虫から成虫に至るまでの性フェロモン糸球体の発達を精査し、メスもオスの性フェロモン糸球体と相同の糸球体をもっているが、成長に伴う体積増加率が低いためにオスの1/30程度の体積に留まることを発見しました(図1)。メスの相同糸球体から出力する二次ニューロンは性フェロモンに対して特異的な興奮性応答を示し、その神経経路は通常の匂いを処理する経路とは明瞭に隔てられています(図2)。このことは,性フェロモンがメスからオスへの一方向性のシグナルとして利用されるだけでなく,メスを含む集団の行動や生殖システムに何らかの影響を持つことを強く示唆します。今後はメスの出す性フェロモンが、近傍のメスにどう作用するのかを明らかにしたいと考えています。
実験成果の紹介はこちら↓
性フェロモンを出すメスゴキブリも性フェロモンを感知する
ゴキブリ繁栄の秘密を発見 —メス同士一緒で単為生殖促進—


図1.雌雄の性フェロモン処理糸球体の成長。6齢幼虫以降でその発達に雌雄差が生じる。


図2.雌雄の性フェロモン糸球体から出力する投射ニューロン

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