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研究概要RESEARCH

不動化の神経機構に関する研究

 大学院時代に没頭した研究です。動物の中には物理的な拘束により突然抵抗するのをやめ、凍りついたように数分間動かなくなるものがいます。この行動は動物界に広くみられる行動で、擬死と呼ばれます。当時の指導教官であった酒井正樹教授(現・岡山大学名誉教授)はフタホシコオロギが物理的拘束によって擬死を示すことを発見し、私がその行動解析と神経機構の解明にとりくみました。

 擬死中にみられる行動特徴として、起き直り反射の抑制、呼吸運動の低下、機械刺激に対する反応性の低下があります(図1)。この行動の誘発には、肢の中の自己受容器(弦音器官)中にある特定の感覚細胞グループが関与しており、これが拘束時に生じる筋肉の振動を検出して不動化を促す機能を持ちます(図2)。全身の不動状態を協調的に維持していくためには脳からの持続的な下行性出力が不可欠です。また、擬死特有の筋緊張は筋収縮を維持する興奮性運動ニューロンの持続的活動に加え、筋緊張を緩める働きを持つ抑制性運動ニューロンの活動抑制によってうみだされることを明らかにしました。
 本研究成果は国内外に広く認知され、吉田奨励賞および成茂動物科学振興賞の対象研究となりました。昆虫の擬死は覚醒レベルの明瞭な低下を伴うため、今後様々な研究に展開できる可能性を秘めています。


図1.擬死中のフタホシコオロギ          図2.擬死の誘発に寄与するセンサー(腿節内弦音器官)

フタホシコオロギの擬死の動画を見る

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