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電子研について

2012年外部評価報告書

平成24年5月

Ⅰ 外部評価委員名簿

評価委員( 5 名)

(敬称略 50音順)
三菱電機エンジニアリング株式会社 相談役 尾辻 仁士
独立行政法人科学技術振興機構 理事 川上 伸昭
財団法人北九州産業学術推進機構 理事長 (委員長)国武 豊喜
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 理事 郷 通子
千葉大学大学院融合科学研究科 教授 西川 惠子

Ⅱ 外部評価資料一覧

  1. 資料画像
    電子科学研究所概要
  2. 資料画像
    平成19年度〜平成22年度 外部評価資料
  3. 資料画像
    点検評価報告書 (平成19年度〜平成22年度)

Ⅲ 評価と提言

1.所内外との共同研究ネットワーク形成について

5研究所アライアンスおよびネットワーク型共同研究拠点
ネットワーク型中核研究所として、附置研との連合を着実に進めており、アライアンスラボなどの先駆的な試みも含め、顕著な評価が上がっていると評価する。当該ネットワークは電子科学研究所の発展を促すものであり、引き続き研究を推進し多様な成果が花開くことを期待する。

国内および海外とのネットワーク
活発な取り組みが行われているが、まだ具体的な成果が得られていない段階にある。ネットワークは手段であってそれ自体が目的ではない。ネットワークの種類に応じて目標・目的は変わるので、それぞれについて何を目指すのか、戦略はどうあるべきか、ということを明確にして推進することで、国内外のネットワークが充実すると考えられる。

学内ネットワーク
徐々に整備されているように見受けられるが、将来性については未知数である。電子研の基本的な使命は、新しい学問を創成するところにある。管理運営の面でも、学部等では容易に実施できない新しい試みを進めている。このようなアドバンテージを生かして、学内的に積極的な関係を構築し、成果を広げるべくネットワーク形成を進めて欲しい。

2.物質・光・生命・数理研究領域のこれまでの取り組みと、複合ナノサイエンスの展開について

組織立てとして、物質・光・生命・数理の4研究部門に集約する方向性は時宜を得た望ましいものである。それぞれの領域における研究は高水準であり研究成果は申し分ない。また、組織の流動性が高く、新分野の開拓に向けた人事も進めている。4研究領域についてさらなる活発な研究を推進して欲しい。

部門を統合した方向性として、過去10年間『複合ナノサイエンス』を掲げてきているが、これは当時のナノテクノロジーの急展開を考慮して、新しい方向として位置づけられたものと理解している。現在、ナノテクノロジーは十分に浸透し、それだけでは新しい学問を生み出すフィールドたり得ない状況にある。四つの部門を統括する表現として、新しい形を考える時期に来ている。第3期の中期計画期間における大きな組織変革をも考慮に入れつつ、今後検討されたい。その際に、研究所のアイデンティテイに合わせた所名変更も視野に入れることになると考えられるが、電子科学研究所という単純明快な名称も捨てがたい魅力がある。様々な観点から検討を進めて欲しい。

3.グリーンナノテクノロジー研究センターについて

グリーンナノテクノロジーセンターへの改組は、昨今のエネルギー・環境問題、国の学術施策の方向性に鑑みれば極めて妥当である。しかしながら、エネルギー・資源は長期的な問題である。短期的な課題に追随し振り回されることが無いように、グリーンナノテクノロジーの本質を踏まえて長期的な視野に立って当該分野を育成して欲しい。なお、学問領域から考えれば四研究領域の中に組込んでも良いと思われるが、学内事情等を踏まえて、附属のセンターとして設置することは問題ない。今後、研究所全体の構造を再考する中で、どのような形がよいか考えるべき時期が来ると思う。

4.研究所の運営について

流動性が高く活発であり、研究所の在り方として非常に望ましい。研究体制構築のための組織づくりが卓越しており、一つのロールモデルとして他大学や研究所の参考となるものである。このように高い水準を保つための研究システムを努力して創出していることを、もっと外部に見える形でアピールすることで、北大における附置研の位置づけがより明確になるだろう。

流動性について付記するならば、生物、物理、数理、どの分野でも採用しにくい、学科目に収まりきらないユニーク人材を積極的に採用していることを高く評価する。このような人材が電子科学研究所で成果を上げ、学部に移籍している例がある。電子科学研究所が先駆的な研究を行っている人材を積極的に登用している証左である。このような人事は、新しい分野を開拓している研究所の使命と合致しており、今後も継続して欲しい。

一方で、北海道大学において電子科学研究所があまりに先進的なために、人事、情報の面で研究所の目が学外に向かざるを得ない現状がある。それ自体は悪いことではないが、協力講座として参画する研究院、研究科の人事戦略をも理解した上で、流動性を保つことを考慮されたい。そのために、研究所執行部は将来構想について大学執行部や研究科と議論をする機会をもっと持つべきである。

なお、年次進行に伴い年齢構成の変化や研究分野改廃などは常に新しく起こる問題・課題なので、今後も注意して真剣に取り組んで欲しい。

個人評価
時間をかけて面談を行い、その結果を評価に反映するという非常に丁寧な評価方式は、企業では当然だとはいえ大学研究機関では稀である。時間・労力の負担は大きいが、研究所のスムーズな運営のために適切な評価は重要であり、継続して欲しい。メンタルケアについてもしっかりした態勢をとっており高く評価できる。

研究支援体制と大型機器の共有
研究支援者を組織として統合し、さらに、機械工作担当の職員等についてもこれまでとは異なる技能を要する業務を行わせることにより、本人が新しい技能を獲得し、同時にモチベーション・成果も上がるような運営を行っており評価できる。技術職員の待遇・処遇については多くの研究機関が問題を抱えているところであるが、電子科学研究所の積極的な方式は、今後、他研究機関の模範となるだろう。

国の支援を得て、大型装置の積極的な共用化が行われていることを高く評価する。現時点では全学的に見て一方通行に近い共用化にとどまっているが、今後、双方向という視点からも全学的な共有がさらに進められることを期待する。

外国人および女性教員
外国人、女性の雇用比率が少ない。電子科学研究所のように国際的、分野横断的な研究所にあっては、研究環境はある意味無国籍であるべきで、女性雇用も含めて将来の人事計画等について十分配慮し努力してほしい。

人材育成
流動性が高く、電子科学研究所に在籍した多くの人材が外部で活躍していることは、人材育成の成果を物語るものである。電子科学研究所で育った学生・若手研究者がどのように活躍しているかについてもっとアピールをすべきであ る。

外部評価における提言においては、そのフォローアップが極めて重要である。提言についてすべてを実現できるわけでは無いことは十分承知しているが、何が出来て、何が出来ないのか、また出来ないのであればその理由を詳細に検討し、確実にフォローアップして研究所の発展に活用して欲しい。

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