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電子研について

所長挨拶

所長
電子科学研究所所長 居城 邦治(イジロ クニハル)

電子科学研究所は、新しい学際領域を開拓することをミッションに掲げて20年以上の歴史を刻んでまいりました。また、前身の超短波研究所まで遡りますと、組織の発足から70年以上が経過しました。最近では、文部科学省が2007年に開始した先端研究施設共用イノベーション創出事業ナノテクノロジーネットワークプログラムにおいて、「北海道イノベーション創出ナノ加工・計測支援ネットワーク」の拠点として参画し、附属ナノテクノロジー研究センターが発足しました。それから5年が経過した2012年には全所的な組織改編を実施し、「光科学」、「物質科学」、「生命科学」の3部門と、「附属グリーンナノテクノロジー研究センター」、「附属社会創造数学研究センター」の5本柱の体制で、ミッション遂行に全力で取り組んでいるところです。

現在の電子科学研究所は16研究分野で構成され、それぞれが高いアクティビティーを維持していますが、外部連携という観点での取り組みは十分とはいえませんでした。そのような中、2009年より、文部科学省認定による「物質・デバイス領域ネットワーク型共同研究拠点」に参画させて頂く機会を得ました。現在は、多元物質科学研究所(東北大学)、化学生命科学研究所(東京工業大学)、産業科学研究所(大阪大学)、先導物質化学研究所(九州大学)とアライアンスを締結して、拠点事業全体で毎年400件以上の共同研究が実施されています。昨今の国が支援するプロジェクトの中には、国内外の大学や研究機関との異分野連携や産業界との縦糸的連携を構築しなければ対応が難しい課題が多くなりましたが、このような日本縦断型の骨太な研究ネットワークは、今後の研究所の発展を支える上で極めて重要であります。

国際連携につきましては、米国、台湾、中国、欧州の複数の大学との学術交流協定を締結しているところではありますが、ここ数年は、共著論文等の成果が問われるようになりました。新しい学際領域の開拓を標榜する電子科学研究所は、国際化とその成果の見える化は喫緊の重要課題と位置づけ、総力を挙げて戦略的に取り組んでまいります。一方、得られた研究成果の積極的な外部発信にも努めます。例えば、毎年6月に実施している研究所の一般公開への取り組みは、学内の他の研究所、センターにも波及して、最近の来場者数は総勢1000名を越えるようになりました。

2004年の国立大学の法人化以来、様々な大学改革の施策が講じられてきました。特に、大学附置研究所の存続は常に問われていますが、日本の科学技術を牽引する組織としてあり続けることが最大のミッションであることは間違いありません。その一方で、普遍性と特殊性を兼ね備えた研究所の運営はますます困難を極めることが予想されます。経験豊富な諸先輩方の協力を得ながら、電子科学研究所の着実な前進に微力を尽くす所存です。皆様の一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

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