以下のように1月31日(火)午後2時より大阪大学産業科学研究所 第1研究棟 2F セミナー室(F228-230)にて、首都大学東京の柳和宏先生の講演会を開催いたします。
柳先生は、カーボンナノチューブの光物性・電気物性に関するご研究をはじめとして、ナノチューブの光機能性材料への応用研究などでご活躍されています。講演では、カーボンナノチューブの基礎的内容から最新の研究トピックまでをお話いただく予定です。
なお、本講演は大阪大学産業科学研究所にて開催されます。もし、大阪出張等、機会がありますようでしたら、ぜひともご参加ください。
日時: | 平成24年2月1日(水)2:00-3:00 pm |
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場所: | 大阪大学 産業科学研究所 第1研究棟 2F セミナー室(F228-230)(大阪府茨木市美穂ヶ丘8-1) |
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は直径1nm程のグラフェンシートを一巻 きにしたナノ炭素材料である。その巻き方(カイラリティ)によって、金属的な性質(金属型SWCNT)や半導体的(半導体型SWCNT)な性質を示すなど、SWCNTの電子構造はカイラリティに大きく依存する。合成時のSWCNTには、その様々なカイラリティのSWCNTが混在したものとなっている。近年の分離精製技術の進展により、金属型・半導体型・単一カイラリティSWCNTの試料を得ることが可能となり、電子構造が揃ったSWCNT凝集系の物性が明らかになりつつある。例えば、高 純度金属型・半導体型SWCNTランダムネットワーク系における電気伝導機構の違いや[1]、AB効果に対する振る舞いの違い[2]などが明らかになっている。未精製試料と高純度精製試料との大きな違いは、試料が示す色にも現れる。未精製の試料においては、可視光領域全体に様々なカイラリティ由来の光吸収帯が重なる為、黒ずんだ色を示す。しかし、高純度精製を行うとカイラリティ固有の色を示す試料を得ることが可能である。例えば、シアン・マゼンタ・イエローの3原色をSWCNTで揃えることが可能である[3]。ここでは、その色を更に電気的に制御可能であることを報告する[4]。
[2] Oshima, Takenobu, Yanagi et al., PRL 104, 016803 (2010)
[3] Yanagi et al., Appl. Phys. Express 1, 034003 (2008)
[4] Yanagi et al., Adv. Mater. 23, 2811 (2011)