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細胞融合が引き起こすがん悪性化機構の解明

掲載日:
講演会

この度、慶應義塾大学医学部総合医科学研究センターの及川司先生による電子研学術講演会を下記のとおり開催いたします。

講演会では最新の研究成果についてお話し頂く予定ですので、皆様のご参加を心よりお待ちしております。


講師 及川 司 先生(慶應義塾大学医学部総合医科学研究センター)
日時 平成24年10月24日(水) 15:00 – 16:00
場所 北海道大学電子科学研究所(新棟)1階 セミナー室 1-3

講演要旨 :

生体を構成する各臓器において、個々の細胞がその分化状態を維持し、本来あるべき空間的位置で機能を果たし続けることは、生体の恒常性維持に欠かすことができない。がん悪性化の特徴である浸潤・転移は、上皮細胞が本来果たすべきバリアとしての機能を(少なくとも一時的に)失い、周囲の細胞との接着を弱めるとともに運動能を獲得し、異所性に増殖することで達成されると考えられる。近年、がん悪性化の過程で骨髄由来細胞と体細胞由来がん細胞との融合が関わっていることが示唆されている(Pawalek, J. et al., Nat Rev Cancer,2008)。融合したがん細胞は、骨髄由来細胞が元来持つ高い運動能を獲得し、浸潤・転移に有利に働くと予想されている。しかし生体内における細胞融合の役割やメカニズム、融合細胞の性質について、これまでほとんど明らかにされていない。その解析を困難にする要因のひとつとして、細胞融合の起こりにくさや、生体内で細胞融合過程を捉えることの難しさが挙げられる。本講演では、破骨細胞とがん細胞が、それぞれ繊維状アクチンに富む特徴的な構造物であるポドソームとインベードポディアを介して融合し得るという知見(Oikawa, T. et al., JCell Biol, 2012)とともに、こうした融合細胞が高い浸潤能を持つに至る分子メカニズムについて、最新の知見を紹介したい。さらに、融合細胞をマウス体内で検出し、追跡する方法論について議論したい。

連絡先:光細胞生理研究分野 根本知己(内線:9362)
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