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「物質・デバイス領域共同研究拠点」[B-1] 公開セミナー “生体ナノシステムの動作原理の理解に基づいた新規医療材料・バイオナノデバイスの創成”

掲載日:
講演会
日時 平成25年2月7日(木)16:30~17:30
場所 北海道大学電子科学研究所(北キャンパス)1階 セミナー室1-3
講師 樋口ゆり子 先生 (京都大学大学院薬学研究科)
講演 細胞挙動の生体内蛍光リアルタイムイメージング
講演要旨

生体内における生命活動のプロセスを細胞や分子レベルで可視化することは、生物学的知見だけでなく疾患メカニズムの解明、細胞治療法の開発において極めて有効な情報を提供することが期待される。生体内における細胞を追跡し可視化する方法には、MRI、PET、光イメージングなど様々な手法があり、それぞれに固有の特長を有するが、一細胞の挙動を可視化するには顕微鏡を用いた蛍光イメージングが有効であると考えられる。これまで、麻酔下で臓器や組織に対物レンズを押しつけたり、貼りつけたりすることにより、生きたマウスの組織内を観察することが可能であったが、耳、脳、固形腫瘍などの呼吸や消化に起因する臓器運動の影響を受けない一部の組織に限られていた。そこで、我々は、組織とカバーガラスの間の空気を吸引によって陰圧にすることで、組織を固定することが可能な、組織吸引固定デバイスを作成した。本デバイスを用いれば、マウスの腹部に小さな開口部を作成するだけで、簡単に組織の観察部位を倒立顕微鏡の対物レンズの視野内に固定することができるため、ほぼ全ての臓器を低侵襲に観察することが可能である。さらに、本デバイスを用いれば、吸引による固定・解除により組織の観察部位を自由に何度でも変更することも可能である。我々は、このデバイスを利用し、静脈内投与後の蛍光標識したリポソームやマウス由来間葉系幹細胞が、生きたマウスの肝臓や腸の血管内に流入・分布する様子や、細胞がローリング、接着する様子をリアルタイムに観察することに成功した。

本セミナーでは、生きたマウスにおける分子や細胞のin vivo リアルタイムイメージングに関する我々の最近の知見を紹介し、ディスカッションしたい。

References
  • K. Shimizu, Y. Higuchi, et al. Development of a suction device for stabilizing in vivo real-time imaging of murine tissues. Journal of Bioscience and Bioengineering 112(5) 508-510 (2011)
  • Y. Higuchi, et al. Polyamidoamine dendrimer-conjugated quantum dots for efficient labeling of primary cultured mesenchymal stem cells. Biomaterials 32(28) 6676-6682 (2011)
連絡先
小松崎民樹 (内線9434) tamiki@es.hokudai.ac.jp
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