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フォトニック結晶とそのテラヘルツ波帯への展開

掲載日:
講演会
日時 平成26年7月18日 (金) 15:00 – 16:00
場所 電子科学研究所 1階 セミナー室1-2
演題 フォトニック結晶とそのテラヘルツ波帯への展開
講師 冨士田 誠之 准教授 (大阪大学 基礎工学研究科 電子光科学領域)
講演要旨

フォトニック結晶とは,周期的な屈折率分布をもつ微細構造である.その周期の大きさは光の波長程度であり,ナノメートルオーダーの構造制御が必要なことから,光ナノ構造とも呼ばれる.周期構造をとるフォトニック結晶の屈折率分布は,電子に対する原子のポテンシャルエネルギー分布に相当するため,フォトニック結晶中の光子は,半導体固体結晶中の電子の振る舞いがエネルギーバンドに従うように,フォトニック結晶で決定されるフォトニックバンドに従った光のモード(状態)で発生・伝搬する.フォトニック結晶の設計次第では,フォトニックバンドギャップと呼ばれる 光のモードが存在できない状態を創り出すことができる.また,フォトニック結晶特有の分散関係をうまく利用することで,光の伝搬方向を変化させたり,光を閉じ込めることも可能である.このようなフォトニック結晶の特徴を活かした光物性研究および光デバイス開発の進展は著しい.

ここで,光波よりも周波数が低く,電波との境界領域の周波数(0.1-10 THz)をもつ電磁波「テラヘルツ波」は,その発生・検出が困難であったため,ごく最近まで未開の電磁波であった.しかし,物質固有の吸収スペクトルの検知を活用した分光センシング,適度な透過性と分解能を利用した非破壊イメージングや広帯域性を活かした超高速無線通信などの応用研究が現在進行している.ただし,小型集積化可能なデバイス・回路技術が未発達であり,テラヘルツ波と物質の相互作用に関しても,十分には理解されていない状況である.ここで,テラヘルツ波も光波同様に電磁波であるため,フォトニック結晶によって,テラヘルツ波も制御可能であると考えられる.そのようにして,テラヘルツ波が制御された場が実現できれば,革新的なテラヘルツ波デバイスが開発され,テラヘルツ波科学の進展も期待できる.

本講演では,フォトニック結晶とそのテラヘルツ波への展開に関して,講演者の研究を中心に紹介させて頂く予定である.

主催 北海道大学、電子科学研究所学術交流委員会
連絡先 北海道大学 電子科学研究所 光システム物理研究分野 酒井恭輔、藤原英樹、笹木敬司((内)9394)
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