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北海道大学電子科学研究所 末宗幾夫教授・太田信廣教授 最終講演会

掲載日:
講演会
日時 平成27年3月16日(月) 14:00–16:30
場所 北キャンパス電子科学研究所・1階会議室
プログラム
14:00–15:00
末宗幾夫教授 「これまでの研究をふり返って」
アブストラクト:

研究者はみなオリジナリティを大事にして仕事を進めておられると思います。私もそのような意識を強くしてこれまでやってきたつもりですが、今これまでを振り返ってみると、その時々の時代の流れ、背景に大きく影響を受けてやってきているとの感を強くします。そこでこの40年近くの世の中の変化を、私の係わった研究領域を通して眺めてみたいと思います。

15:00–15:30 休憩
15:30–16:30
太田信廣教授 「思い出すままに」
アブストラクト:

電子科学研究所の前身である応用電気研究所に赴任した1978年4月以来勤務してきた北大をこの3月にて去ることになる。振り返ってみると長いようにも思えるが、あっという間、というのが実感である。子供の頃ただ野山を駆け回っていた自分が将来に対する大望があるわけでもなく何となく高校に入学し、周囲の流れに沿って大学に入学し、学園紛争の華やかなりし頃なれど、それとは無縁に下宿ではマージャンに興じ、レーザーを使った実験というのが面白そうだということで物理化学研究の方面に進むことになった。会社に入ってお金持ちになりたいという気にもならず、何となく大学院に進み、学位を得ても職がないので恩師の勧めで外国の博士研究員となり、その後縁あって北海道大学に職を得て研究する道に進むことになった。小さい頃に読んだ吉川英治の「宮本武蔵」に感銘し、ただ一筋の道に邁進する、というのに憧れがなかったといへば嘘になる。大学の教授として研究を進める機会を得ることができたのは、幸運以外のなにものでもなく、人との巡り合わせや偶然によるもの、と痛感する。好奇心にしたがって思いっきり研究を進めることができる職は、私にとってはまさに天職といえるものだった。ただ、迷ったり悩んだりした際に、また折にふれて励まして下さる方がいたからこそ続けてこられたのも事実だと思う。

ある程度自分の興味にしたがって研究を進める機会が得られてからは、「光」、「磁場」、「電場」に拘りをもって研究を進めてきた。昨今の流れの中ではいかに社会の役に立つか、ということがまず取り上げられる場合が多いようであるが、私の場合はこの観点からは失格かもしれない。分子系の「電子構造」と「ダイナミクス」を中心に、自分が、不思議だ、どうしてだろうと思う好奇心を満たすことを中心に進めてきた。ただその好奇心が個々の分子を対象としていた頃に比べ、最近では分子集合体としての物質、そしてその究極でもある生体系が有する「機能」に興味が広がっているのも事実である。行っている研究が世の役にたたなくてもいいと思ったことは一度もない。できれば役に立って欲しいし、その可能性は十分にあると思っている。ただ、自分の好奇心を中心に進めてきたので、もしだめであっても後悔はしないはずだ。

最終講義として1時間を頂けるということなので、これまでにお世話になった方々への感謝も込めてこれまでの思い出を綴ってみたい。

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