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第42回 北大MMCセミナー

掲載日:
講演会
日時 2015年5月29日(金) 16:30–18:00
場所 電子科学研究所 中央キャンパス総合研究棟2号館 5F北側講義室(北12条西7丁目)
講演者 岩見 真吾
所属等 九州大学理学院
タイトル 数理科学は新規抗ウイルス薬剤の開発を加速させられるのか?
概要

数理モデルとは、”時間変化する現象を模するために数学の言葉で記述した系”の事である。事実、私達が住むこの世界のありとあらゆる現象は数式で記述され得る。また、高度に発展してきた数学理論、統計理論、計算機科学理論の恩恵により、適切な数理モデルは現象を定量的に再現し、未来予測さえも可能にする。私は、この魔法の様な力を秘めた数理モデルに惹かれ、また、現在の医学では根治が難しい疾患の治療法を探したいという思いから、10年間に渡り数理モデルを用いたウイルス感染症研究を行ってきた。本講演では、B型肝炎ウイルス(HBV)を感染者生体内から完全に排除するために必要とされている新規抗ウイルス薬の開発のために、ウイルス学者・臨床医学者と共に数理モデルを用いて取り組んでいる研究を紹介する。HBVは世界に約2.4億人のキャリアが存在し、国の緊急対策研究事業にも指定されている感染症である。慢性感染者からの肝硬変、肝がんへの進展は高率であり、肝がんによる年間死亡者数は数万人にも及ぶ。現在、治療に用いられている薬剤は、インターフェロン-アルファ(IFN-α)と核酸アナログ製剤(ETV)のみであり、その他の治療薬はない。また、残念な事に、現行の抗HBV治療では、生体内(肝細胞の核内)に潜んだHBVの長期的完全排除は達成され難いのである。まさに、HBV治療にブレークスルーをもたらす全く新しい作用機序を持つ薬剤が希求されているのである。

主催 附属社会創造数学研究センター
連絡先 北海道大学電子科学研究所 附属社会創造数学研究センター 人間数理研究分野 長山 雅晴 内線: 3357 nagayama@es.hokudai.ac.jp
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