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第53回 北大MMCセミナー

掲載日:
講演会
日時 2016年2月16日(火) 16:30 – 18:00 ※通常と曜日が異なります
場所 電子科学研究所 中央キャンパス総合研究棟2号館 5F北側講義室(北12条西7丁目)
講演者 須志田 隆道
所属等 明治大学 研究・知財戦略機構
タイトル 明暗の錯視を説明する網膜情報処理の数理モデル
概要

錯視とは、我々が知覚したものが実際の物理的現実とは異なって見える現象のことである。特に、錯視は我々の意識に関係なく知覚される。典型的な例として、マッハの帯やクレイク・オブライエン・コンスウィート効果と呼ばれる明暗の錯視がある。前者は明るさの異なる領域の境界が強調された結果を知覚し、後者はその反対の結果を知覚するというものである。この2つの例から、視覚の情報処理では相反する2つの効果がはたらいていると考えられる。

本研究では、錯視が視覚の情報処理における自然現象であると捉え、視覚のメカニズムを理解することによって、錯視が自然に説明されるものだと考える。特に、錯視は我々の意識に関係なく知覚されることから、網膜における光刺激の前処理が知覚に大きな影響を及ぼすと考える。

網膜の情報処理を記述する代表的な数理モデルの一つとして、入力と出力の関係を畳み込みで記述した数理モデルがある。畳み込みにおける積分核はメキシカンハットと呼ばれる関数型であり、受容野の構造を記述する関数型としてもよく知られているものである。一方で、網膜を構成する細胞によって、入力は段階ごとに処理されていることが知られているため、網膜の情報処理は入力と出力の一つの関係だけではないと考えられる。

本講演では、網膜における段階ごとの処理を記述する反応拡散系の数理モデルを提案し、マッハの帯とクレイク・オブライエン・コンスウィート効果の2つの相反する錯視が網膜のどのメカニズムが引き起こすかを説明する。さらに、数学解析から提案モデルにおいて、入力が時間に依存しない場合の定常問題を考え、定常解を積分で表示したときに得られる積分核がメキシカンハットになる必要十分条件を与える。

本講演は、近藤信太郎氏(明治大学 研究・知財戦略機構 研究推進員)、友枝明保氏(武蔵野大学 工学部 准教授)、杉原厚吉氏(明治大学 研究・知財戦略機構 特任教授)、三村昌泰氏(明治大学 研究・知財戦略機構 特任教授)との共同研究に基づくものである。

主催 附属社会創造数学研究センター
連絡先 北海道大学電子科学研究所 附属社会創造数学研究センター 人間数理研究分野 長山 雅晴 内線: 3357 nagayama@es.hokudai.ac.jp
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