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分子集合体中のプロトンダイナミクスを利用した強誘電性と強弾性の創製

掲載日:
講演会
開催日:
日時 平成29年2月9日 14:00–15:00
場所 北海道大学電子科学研究所(北キャンパス総合研究棟5号館)1階会議室
講演者 芥川 智行
所属等 東北大学多元物質科学研究所 教授
タイトル 分子集合体中のプロトンダイナミクスを利用した強誘電性と強弾性の創製
概要

Figure 1 強誘電性または強弾性機能を示す分子性化合物。
有機分子の設計自由度に着目した分子集合体の多重機能性の開拓が活発に行われている。中でも、分子間水素結合のダイナミクスに由来する分子性強誘電体や分子性強弾性体材料は、プロトンダイナミクスがバルク物性と相関する興味深い分子集合体である。1強誘電特性の発現とさらなる機能付加を試みるために、π電子骨格に複数のテトラデシルアミド基(-CONHC14H29)を導入した誘導体の分子会合特性、分子集合体形成および分子間水素結合に由来する強誘電性の発現に関する検討を行った(Figure 1)。 2,3特に、ピレンにテトラデシルアミド基を導入した新規化合物1の液晶性・誘電物性・溶液中での会合挙動・光物性・ゲル化能に関する検討から、「光る強誘電体」の創製に成功した。化合物1は、ピレンのπ電子の重なりと分子間 N-H~O=水素結合の形成によりカラム構造を形成する。化合物1のColh相における強誘電性が、電場-分極(P-E)ヒステリシス曲線から確認された。これは、カラム内の分子間アミド結合の反転による分極反転から生じる。さらに、分子集合体中のダイナミックなドメイン反転が外場応答により生じる分子性強弾性体に着目した。フレキシブルアクチュエーターやセンサ材料としての応用が期待される分子性強弾性体の力学応答は、これまでに検討されることが無かった。本研究では、3種類の分子性強弾性体(2,3および4)に着目して、そのドメイン反転メカニズムを初めて明らかにした。

  1. T. Akutagawa, et al, J. Am. Chem. Soc. 126, 291 (2004).
  2. Y. Shishido, T. Akutagawa, et al. J. Phys. Chem. C. 118, 21204 (2014).
  3. H. Anetai, T. Akutagawa et al, J. Phys. Chem. Lett. 6, 1813 (2015).
主催 北海道大学電子科学研究所学術交流委員会
共催 応用物理学会北海道支部・エンレイソウの会
連絡先 北海道大学 電子科学研究所 光電子ナノ材料研究分野
海住 英生(内線 9349)、藤岡 正弥、西井 準治
備考等 本講演は H28 年度電子科学研究所ダイナミックアライアンス研究支援事業の一環で開催されております。
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