光の動きを利用した新しい分子配向技術の開発

人間社会の質向上に貢献する機能材料の力学特性・電気伝導度・熱伝導あるいは光学特性の向上は，これまで優れた機能分子の開発によって主導されてきた。一方自然界を見渡せば，繊維や骨を始めとして生物はありふれた異方分子から精緻な異方構造を構築し活用している。すなわち，長い歴史を経て洗練された生物が，材料の機能と性能の飛躍的向上には分子の配向制御が必要であることを教えてくれる。既存の分子配向法には力学延伸やラビング処理が広く利用されている。最近では光を用いた分子配向法がディスプレイで実用に至っている。ただし，特異的な光反応部位と偏光光源が欠かせないため，配向のトリガーとなる分子が限定されてしまう点に難がある。このような背景のもと，われわれは分子を自在に配向する技術自体に潜在的な需要があると考えている。本発表では，時空間的に強度が変調した光を利用した新しい分子配向法を紹介する。