第93回北大MMCセミナー

多変量時系列から低次元相空間へ射影したデータを作成し、確率微分方程式を推定して予測可能性を統計的に評価する試みを行った。本研究では対流圏中高緯度で卓越する変動を表現する相空間、成層圏で卓越する変動を表現する相空間、およびロレンツモデルの長期積分データに基づいて解析を行った。まず、確率微分方程式の枠組みに基づき、次元を縮減した系での経験的なモデリングを開発し、それを検証した。確率論におけるある逆問題と関係する数学の定理に従って、ドリフトベクトルと拡散テンソルを経験的に推定する公式を導いた。いずれの場合もデータ時系列を２次元平面に射影して、そのデータを近似する確率微分方程式を得た。確率微分方程式より生成したアンサンブルの分散分布は、データの予測可能性と整合的であり、局所的な予測可能性は確率微分方程式モデリングによって表現できることがわかった。