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ナノ構造物性研究分野の物理学科4年生の小森至瑠君(指導教官 近藤憲治 准教授)が「北大理学部同窓会賞 (2019)」を受賞しました。

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受賞
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ナノ構造物性研究分野の物理学科4年生の小森至瑠君(指導教官 近藤憲治 准教授)が優秀な卒業研究発表をしたものから推薦され、決定される「北大理学部同窓会賞 (2019)」を受賞しました。卒業研究発表タイトルは「Manifestation of Hinge States in Higher-order Topological Insulators」です。

この研究は、2018年6月にScience Advancesで発表された、Frank Schindler等の「Higher-order topological insulators」(高次トポロジカル絶縁体)という論文をもとにしています(Science Advances01 Jun 2018: Vol. 4, no. 6) 。その論文のなかで、彼らは物質の表面が金属相になり、バルクでは絶縁体であるという従来のトポロジカル絶縁体を超えて、物質の稜線(Hinge)が金属相になり、その他は絶縁体になるという2次のトポロジカル絶縁体を提唱しました。これは従来、表面だけが金属的だったトポロジカル絶縁体に対して、稜線や頂点といった、より低次元な部分だけでも金属的になるという新しい物性の研究であり、基礎物理学的に重要な研究です。

具体的なイメージは図1を参照してください。

図1:

これを受けて、小森君は、近藤准教授の指導の下に、この論文で提唱された以下のハミルトニアンを使用して、

具体的にヒンジ状態の電子分布を数値的に計算し、その分布を示しました。図2は1次トポロジカル絶縁体と2次トポロジカル絶縁体の電子密度分布の比較です。

図2:

その結果、確かに2次のトポロジカル絶縁体では、電子分布はフェルミ・エネルギーにおいて、ヒンジだけに集中しており、ヒンジが金属的になっていることを明示的に示すことが出来ました。また、z軸に垂直な面はまだ金属的であることも、この計算によりわかりました。この範囲までが卒論の内容です。その後、卒論発表の2週間後の日本物理学会で、彼はさらに2次近接ホッピングを取り入れた場合の2次のトポロジカル絶縁体の相図を計算し、発表しました。

小森 至瑠*、近藤 憲治 : 「高次トポロジカル絶縁体で発現するヒンジ状態のロバスト性」、日本物理学会第74回年次大会(2019年)、九州大学 伊都キャンパス、Japan (2019-03).

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