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研究内容

分子1個に記録された情報を非破壊的に読み出せる光スイッチング分子の開発に成功

掲載日:
スマート分子材料研究分野

北海道大学電子科学研究所スマート分子材料研究分野の深港豪助教らは分子1個に記録された情報を非破壊的に蛍光読み出しすることが可能な新しい光スイッチング分子の開発に成功しました。

近年、分子1個の蛍光特性を光により可逆的に”オン”-”オフ”スイッチさせ、それを究極的な記録容量を達成しうる”単一分子光メモリ”や分子サイズの分解能でのイメージングを可能とする”超高分解能イメージング”に応用する試みが行われています。しかしながら、これまでに開発されてきたスイッチング分子は、蛍光(情報)を読み出す光で光反応(スイッチング)が同時に起こり、読み出しの際に記録情報を破壊してしまう致命的な問題がありました。

本研究グループは、スペクトル的な重なりが完全に分離した蛍光ユニットとスイッチングユニットを連結し、分子内電子移動を利用した新しい蛍光スイッチング分子(下図)を開発することで、上記の課題を克服することに成功しました。この分子は蛍光読み出しの光(下図、532nm)では光反応を全く起こしませんが、スイッチングを誘起する別の波長の光(下図、Vis.もしくはUV)を照射すると蛍光強度を効率良く”オン”-”オフ”スイッチさせます。また、このスイッチングと読み出しは単一分子レベルでも行うことが可能であり、世界で初めて一つの分子に記録された情報を非破壊的に読み出すことに成功しました。非破壊読み出しが可能であることは、任意のタイミングで自在に分子の蛍光特性をスイッチできることを意味しており、真に分子レベルで機能する光スイッチング分子の開発に成功したことを示す研究成果と言えます。

本研究は、立教大学理学部化学科の入江正浩教授の研究グループ、ならびに大阪大学大学院基礎工学研究科の宮坂博教授の研究グループと共同で行われました。

本研究成果は、米国科学誌『Journal of the American Chemical Society』に2011年4月6日(米国東部時間)に公開されます。

2011-05-09-smart-01

図:分子内電子移動型蛍光スイッチング分子と非破壊蛍光読み出し
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