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有機ドナーが配位した常磁性金属錯体を用いた有機磁性半導体の開発 — 有機薄膜デバイスへの応用を目指して—

掲載日:
講演会
開催日:
日時 平成30年11月20日(火) 16:00 –
場所 北海道大学 電子科学研究所(北キャンパス総合研究棟5号館) 1階 会議室
講演者 西川 浩之
所属 茨城大学大学院理工学研究科
演題 有機ドナーが配位した常磁性金属錯体を用いた有機磁性半導体の開発 — 有機薄膜デバイスへの応用を目指して—
概要

分子性導体の分野において,伝導性を担うπ電子系と磁性の起源となる局在dスピンが相互作用する,いわゆるπ-d系の開発と物性研究が盛んに行われている。多くの有機超伝導体を与えるドナーであるBEDT-TTF [bis(ethylenedithio) tetrathiafulvalene]やそのセレン類縁体と常磁性金属イオンを含むアニオンからなるラジカル塩において,強磁性金属や磁場有機超伝導体など興味深い現象が報告されている。これらの系では,伝導性を示す分子と磁性を担う分子が独立した分子で構成されているため,π-d間の相互作用は非常に小さく,磁性と伝導性が関与する物性の発現も極低温に限られている。これに対し,鉄フタロシアニンやスピン分極ドナーと呼ばれる常磁性置換基で置換されたTTF誘導体では比較的大きな磁性‐伝導性間の相互作用が確認されている。以上のことから分子性導体の主要構成成分分子であるTTF誘導体が直接常磁性金属イオンに配位子した分子が数多く合成され,構造と磁性が明らかにされている。しかし,TTF-常磁性金属錯体では配位子のTTF部位が部分酸化された物質を得ることが困難であり,伝導性を示すTTF-金属錯体の報告例はほとんどない。一方,我々は金属への配位部位としてシッフ塩基配位子を用いることにより,TTF部位が部分酸化され,伝導性と常磁性が共存する系の開発に成功している。本講演では集中講義の内容を踏まえ,我々が開発したTTF-常磁性金属錯体の物性とπ-d相互作用について概説するとともに,薄膜デバイスへの応用について述べる。

連絡先 北海道大学 電子科学研究所 中村貴義 e-mail:tnaka
備考 ご案内【word】
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